ISO30414(人的資本情報開示)に効果的に対応する方法
2020年11月から、アメリカ証券取引委員会(SEC)は、上場企業に人的資本レポートの提出を義務づけました。
また、2018年には、新しい人事の国際基準であるISO30414が制定されました。
あなたの会社では、まだまだ対岸の火事のようにとらえているかも知れません。
しかし、事の重大さに気が付いている企業では、2~3年の長期プロジェクトとして既にこの問題に取り組み始めています。
人事の世界は、欧米が先頭を走り、数年後に日本に導入されるという流れが一般的です。
実力主義にせよ、成果主義にせよ、コンピテンシー評価にせよ、MBO目標管理にせよ、例を挙げればきりがありません。
そして、2020年11月以降に年度決算を迎えたアメリカ企業は、年間決算報告K-10(日本の有価証券報告書に相当)に人的資本レポートの記載を始めています。
ISO30414への対応を始めている企業は、日本でも数年以内に対応が必要になることを、経験上知っているのです。
特に、日本にある外資系企業では、この問題への対応が緊急の課題になっています。
このレポートでは、2020年11月12日に決算を開示したスターバックス・コーポレーションの決算報告を参照しながら、ISO30414に対応する場合のポイントについて解説しています。
のべ1800万人の従業員のデータを扱い続けて学んだことをすべてお話しします
証券取引所に株式公開している会社は、有価証券報告書を提出する義務があります。
この報告書には、バランスシートや損益計算書などの財務情報が中心に記載されており、従業員数も報告項目の一つです。
多くの企業で、人事部がこの数値をとりまとめる責任部署となっているはずです。
「人数を数えるだけなんて、簡単でしょう」と思うかもしれません。
一見、誰でもできる仕事のように思えますが、実はなかなか奥が深く専門知識と経験が必要な業務なのです。なぜこの仕事が、戦略人事にとって重要なのでしょう。
私は、従業員数を数えるこの仕事を、人事部に在籍した6年間ずっと担当していました。
有価証券報告書に人員数が記載されるのは年度決算時期だけなので、対外的には一年に一回だけ数えればいい。
ところが、私のチームでは、人員数を毎月数えていました。なぜなら、これがリソースマネジメント(人的資本情報開示)の基本動作だからです。
私の前職のグローバル従業員数は約25万人ですから、毎月全員数えると一年間でのべ300万人となります。
それを6年間やり続けると、およそ1800万人数えたことになりますから、日本企業の人事部で、これだけ多くの社員を数えたのは、おそらく私のチームだけではないかと思います。
1800万人の人員を数え続けたことで、私が得た貴重な教訓があります。
それは、人事データマネジメントの指揮者は、一人でなければならないということです。
人事データの基本中の基本は、「人員数を正しく把握する」という作業です。ところがこの作業、意外にもなかなか難しいのです。
ひとつ例題を考えてみてください。
<例題:この会社の期末(3/31)人員を正しく求めてください>
あなたは従業員数約1000人の企業の本社人事部長です。
本社は日本にあり、事業はグローバルに展開しています。
有価証券報告書に記載する本社の期末人員を、正しく求めてください。
<情報>
・ 2/28時点で本社従業員データベースに1000人登録されていました。
・ 3/15付けで、10名が中途入社しました。
・ 3/31に定年退職で5人退職します。
・ 3/31に自己都合で10人退職します。
・ 退職する10人中5人は、有給休暇を取得しており最終出社は3/25でした。
・ 育児休職中の従業員が5人います。
・ 4/1付けで海外出向者が20人日本に帰国しますが、そのうち7人はすでに日本に戻ってきて仕事の引継ぎをしています。
・ 3/15から2か月の産前休暇に入っている従業員が2名います。
・ 3/31時点で、15名の従業員が国内の関連会社に出向し働いています。
・ 3/31時点で。関連会社からの逆出向社員が5名います。
・ 雇用期間に定めのある契約従業員が100名いますが、彼らは別のデータベースに登録されています。
ヒントとして、内閣府が発行している注意事項を掲載しておきます。
(29) 従業員の状況記入時の注意点
最近日現在の連結会社における従業員数(就業人員数をいう。以下この(29) において同じ)を事業の種類別セグメントに関連付けて記載すること。 また、提出会社の最近日現在の従業員について、その数、平均年齢、平均勤続年数及び平均年間給与(賞与を含む)を記載すること
ここでのポイントは、内閣府令にある「就業人員」という言葉です。
この人事部長(数える指揮者)が最初に決定しなくてはいけないのは、「就業」という言葉の定義です。
たとえば、休暇を取っている人、休職している人、3/31付けに退職する人の扱い。
また、4/1の人事発令以前に日本に帰国している従業員を、現地で数えるのか日本の本社で数えるのかも決めなくてはなりませんし、本社からグループ会社に出向している従業員は、どちらの会社で数えるのかもルールを決めなくてはなりません。
ここに書いてある問題は、ベーシックなケースのみですが、実際にはもっと複雑な状況も発生します。
「就業人員」を数えることの何が難しいかというと、どちらにも解釈できるケースが数多く存在することです。
厳密なルールとそれを確認する責任者がいなければ、出てくる数は一律ではありません。
試しに、ルールを何も決めない状態で、先の問を10人の人事部員に聞いてみたらすぐわかります。
全員が正しい答えで一致することは、まずあり得ないのです。
なぜここまで、人事データを扱うのに神経を使う必要があるのでしょうか?
それは、人事部のアウトプットの信頼性に関わる問題だからです。
人員数は、人事部が外部に提供する数値の中でも基本中の基本です。
集計の過程でもし間違いがあり、それが何度も繰り返されれば人事部が提供する数値全体の信頼性に疑問が持たれます。
人数を数えるといった簡単な作業も、複数の人間が関与するだけでとたんに難しくなります。
異なる部門、事業部、工場、海外子会社の全人事部員が、共通のポリシーとルールを理解しなければ、人数を正しく把握することはできません。
人数を正しく数えることは、データ人事の基礎トレーニングです。
人数を正しく数えられない人事部は、ビジネスパートナーとして尊重されることはないのです。
この教材では、私が6年間かけてのべ1800万人の人事データを見てきた経験をすべてお話ししています。
スターバックス社の人的資本レポートから学べること
●過去5年分の売上、利益、人員数から、社員1人当たりの売上高/利益額の変動を調査しました。
●英語原文と日本語訳があるので、英語が苦手な方でも問題ありません。
●日本からでは非常にアプローチしにくいアメリカ企業の決算書と、新しい人的資本レポートの記載内容が分かる最新レポートです。
●開示内容に関する考察もありますので、御社の今後の検討材料としてお役立てください。
詳細な内容
1.決算概要 (P2~P5)
昨年度のスタバ社のビジネス概要が記載されています。
コロナ禍で彼らの売り上げはどうなったのか?
今後の成長をどのように実現しようとしているのか?を知ることができます。
もしあなたが飲食業界でなくても、商社の戦略を一端を知ることには価値があるでしょう。
2.過去5年の決算概要と生産性指標(P6)
一人当たり売上高と利益額の推移を計算しました。
彼らは、コロナ禍で人員数をどのようにコントロールしてきたのか?前年との比較をしながら解説しています。
3.人材マネジメント(P7~P13)
投資家が注目する「人的資本マネジメント」に関する記載個所です。
英語原文のすぐ横に日本語訳を付けました。英語が苦手な方でも、すぐに読み進めることができます。
4.スターバックス社人的資本情報開示のポイント(P14~P17)
前年度(2019年9月期)のからの変化が分かります。
比較すると、どの程度人材戦略の情報開示に真剣に取り組んでいるのかが分かります。
開示内容に関する考察がありますので、御社の今後の検討材料としてお役立てください。
(全16ページ)
知識を深くするための3つの特典付き
特典1 ISO30414動画セミナー (視聴時間 70分34秒)
スタバ社が人的資本レポートを発行するきっかけとなった、ISO30414最新情報の動画講座です。
ISO30414の検討を始めたばかりの方にも分かりやすく解説しています。
動画講座の内容
(視聴時間 70分34秒)
ISO30414とはなにか?
・ISO30414の概要
・人的資本レポートの原型について
・リソースマネジメントの概念
・戦略的かつ定量的な人事マネジメント
ISO30414を取り巻く状況
・経済産業省での議論内容
・日本規格協会(JSA)の見解
・米国株式市場からの圧力
・ESGからの要請
・SDGsからの要請
・コーポレートガバナンスからの要請
・グローバル経営の観点
・現時点での動向まとめ
リソースマネジメント業務の実際
・リソースマネジメント(RM)の実例
・RMグループ発足時の状況
・6年後、RMグループが対応可能にしたこと
・現状の有価証券報告書の人員情報
・(参考)大企業の定義
ISO30414対応のための課題
・リソースマネジメント業務に必要なスキルとは?
・組織としての対応すべき点はなにか?
・項目数が多いのは、人事のどの分野?
・難易度が高い項目は何か?
・関連するISO規格知ってますか?
・この数値、正しく答えられますか?
・ISO対応でやってはいけないこと
本日のまとめ
・JIS化、義務化の可能性は?
・強まる外部からの要求
・リソースマネジメントの必要性
・対応に必要な期間
・人事部に要求されるスキル開発と人材育成
・サポートメニューのご案内
特典2 ドイツ銀行グループの開示資料(PDFダウンロード方式)
世界で初めてISO30414認証を取得した、ドイツ銀行グループの開示資料を日本語で解説しました。
将来、あなたの会社が実際に情報開示する際に、必ず参考にできる資料です。
<PDF資料の概要>
・10ページ(表紙含まず)
・原文:英語 日本語対訳付き
特典3 世界初のISO30414認証取得企業の資料を動画で詳細解説 (視聴時間48分41秒)
<動画講座の特徴>
①実際のドイツ銀行発行資料を翻訳して、セクションごとに解説を加えました。
②人的資源情報開示の実務経験を持つ人事コンサルタントが直接解説しています。
③日本企業に導入する場合の注意点について、海外と日本の人材マーケット要件の差を考慮したアドバイスが聞けます。
1.Perspective(取り組み内容)
人事の重点取り組み項目について
2.Workforce Metrics(労働力分析)
FTEとHC
雇用形態別、性別、勤務地別の定量値
3. Diversity (多様性)
男女別、従業員区分、職位ごとの定量値
主要ポジションへの女性登用状況
4. Productivity(生産性・採用・離職)
従業員一人当たり利益
人的資本投資収益率
労働力コスト
人材獲得能力
離職率
5. Leadership and Training (リーダーへの信頼度と研修)
社員からみた経営陣の信頼度
倫理関係のトレーニング
6. Incident Management(インシデント管理)
苦情処理状況
懲戒処分状況
動画講座のイメージ
レギュレーション S-K の 101(c)の改訂内容が示されていることと、それを受けてスターバックスが10-Kの内容をどう変えてきたかを明らかにする貴重な資料で、大変参考になりました。
事業を理解する上で重要となる範囲”は個社によって異なるので、数字を開示することよりも人的資本強化のストーリーを開示することのほうが重要になると感じました。
従業員の成長が事業の成長に大きく貢献する”、という文言を見て、これを肝に銘じて経営のかじ取りをしていこうと、思いを新たにしました。
今回のISO30414関連情報と動画講座 内容のまとめ
①米国証券取引にスターバックス社が提出した、年次報告書を日本語訳付きで解説したPDF資料
②スタバ社が人的資本レポートを発行するきっかけとなった、ISO30414最新情報の動画講座(視聴時間 70分34秒)
③世界で初めてISO30414認証を取得した、ドイツ銀行グループの開示資料を日本語で解説したPDF資料
④ドイツ銀行グループのISO30414認証取得資料を動画で詳細解説(視聴時間48分41秒)
スターバックスの情報開示PDF資料
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ドイツ銀行グループの情報開示資料
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ISO30414動画講座
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ドイツ銀行認証取得資料動画開設
セット価格 ¥44,000 (消費税込み)
アメリカでは、投資対象企業を選定する際に、その会社の人的資本開示状況をチェックされる時代になっています。
経済がグローバル化している現在、この流れは確実に日本にも到達します。
あなたの会社のライバル企業に差をつけるために、出来ることがあります。
それは、なるべく早く対応計画を作って実務を進めることです。
今回の資料と動画講座は、25万人の人事データを見続けた実務家が監修した内容です。
今日始めれば、明日からライバル企業に対する優位性が得られるます。
まもなくやってくるであろう「人材獲得競争時代」に向けて、あなたの会社の人材戦略の参考資料としてください。
<商品提供方法>
●PDFはダウンロード後閲覧ください。動画は指定のURLから視聴できます。
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●決済後、ダウンロードページが記載されたメールが届かない場合は、迷惑メールフォルダーに格納されていないかご確認ください。
<決済方法>
●クレジットカードによる決済です。
●決済業務はペイジェントに委託しております。株式会社エヌ・ティ・ティ・データが50%、業界最大手のクレジットカード会社である株式会社三菱UFJニコスが50%を出資している、安定した経営基盤を持つ決済代行サービス会社です。
●弊社でお客様のクレジットカード情報を保持することはございません。
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